DisplayPort

デジタルRGB/DisplayPort

DPはピクセルクロックとは関係無い、162/270/540MHzの三種の基本クロックの10倍の頻度で動作する4組(レーン)の信号線を用いる。最大ビットレートは540M*4*10で21.6Gbpsになるが、TMDSと同様に10bitの内2bitはパリティとして使われるので、映像データの伝送として使えるのは最大17.28Gbps。
 4レーン全てが常時稼働しているわけではなく、実現したい画面モードやMultiStream出力、受け側到達時の信号品質、DPレシーバの仕様等に応じて、三種のクロックと有効レーン数が選択されうる。

基本クロック・レーン数と画面モードの例(概算)
1 Lane 2 Lanes 4 Lanes
162MHz
ReducedBitRate
800*600@60Hz-24bpp 1280*1024@60Hz-24bpp 1920*1200@60Hz-24bpp
270MHz
HighBitRate
1024*768@60Hz-24bpp 1920*1200@60Hz-24bpp 2560*2048@60Hz-24bpp
2560*1600@60Hz-30bpp
540MHz
HighBitRate2
1920*1200@60Hz-24bpp 2560*1600@60Hz-30bpp 4096*2160@60Hz-24bpp
2560*1600@120Hz-30bpp

DP初登場時は、デュアルリンクDVIと同等の機能しかサポートしないディスプレイ製品ばかりだったので、さして注目されなかったが、AMDがRadeonHD5kシリーズにおいて「DP出力を使った場合のみ三画面以上の同時出力をサポートする」としたおかげで注目を浴び、自作ユーザーを中心にそこそこ普及するようになった。

だがホットプラグ周りの仕様が厳格で?、映像出力の出しっぱなしができず、ディスプレイ側の入力切り替えや電源ON/OFF等をきっかけとしてデスクトップ設定をやり直さなくてはならない状況に陥ることが多く、三画面以上のマルチディスプレイユーザー間では、使い勝手の評価は芳しくない。

しかし出し側一、受け側不特定複数のMultiStream接続を想定するなら、ディスプレイ切断後に出力が切れるのはむしろ合理的で、このDPの使い勝手の悪さは、デスクトップ状態を明示的に管理できないOSの責任だろう。

こちらは、Radeon-ControlCenterでのデスクトッププリセット機能。その時のデスクトップ配置を保存し、任意のホットキーでロードできます。DPを使うシステムでは、こういったデスクトッププロファイル管理機能のあるソフトを導入しないと運用が面倒。

DP対応開始時期
AMD Intel nVIDIA
2013 DP1.2? /Haswell
2012 DP1.2 /Kepler Dell・U2913WMでのDPデイジーチェーン
2011
2010 DP1.2 HD6kSeries/NorthernIslands
2009 DP1.1 Intel5Series/Ibexpeak DP1.1 GF200Series/Tesla DP1.2策定・HBR2による帯域倍増
2008 DP1.1 HD4kSeries/R7xx DP1.1? /Eaglelake DP1.1 GF9600/G94 DP1.1a策定
2007 DP1.1 780G/RS780 DP1.1策定
2006 DP1.0策定

あまり知られていない能力として、AUXチャネルを利用したUSB伝送がある。まだ実装したメーカーは無いようだけど。

出し側としてありうる端子
DisplayPort
形状はHDMIに似ているが、凹んでいる角が一つだけなのと、抜け防止ノッチが付いている。
MiniDisplayPort
モバイル向け小型化版。もうレギュラーサイズDP廃止して、Miniに統一したほうがいいんじゃないですかね。
Thunderbolt
端子形状はMiniDisplayportと同じ。映像出力だけにしか使わないなら、DPと同じと考えていい。現状のTHコントローラチップはDP信号を直接生成する能力は持っていないので、THの映像出力仕様は、チップセットなりGPUなりのDP出力元に準じる。
受け側としてありうる端子
DisplayPort
MiniDisplayPort
DisplayPort関連用語

今年8月にVESAから、DisplayPort Marketing Guidelinesという、DP関連デバイス製造/販売業者に対して、消費者にDP製品をどう広報したら良いか、という事を説明するガイドラインが発表されました。そのなかでいくつか目新しい用語が出ていたので、簡単に紹介しておきます。

Dual-Mode Source Device
DP端子からTMDSの信号形式を出力できる出し側デバイス(ビデオカード等)。AMDは、Llano/Trinityの関連資料内でDual-Mode対応を表記している。対義語はNative DisplayPort Source Deviceになるのかな?

VESAの定義するDP正規ロゴ。Dual-Mode対応の出し側デバイスはどっちのロゴも使って良いとされている。しかし実際これら正規DPロゴを、製品やWebページに表記しているPCパーツメーカーはあまり無い。VESAはわかりやすい接続図用意してくれているのだが・・・。

なお、Dual-ModeにはType1とType2があり、前者はTMDS165MHzまで、後者は300MHzまでの出力に対応していることを示す。後者のタイプのアダプタ製品流通はまだ先。

通常時とDual-Mode時の、出し側DPピン割り当て比較
Native DP Pin Num Dual-Mode DP
for DVI for HDMI
Lane0+ 1 TMDS Clock+
Gnd 2 Gnd
Lane0- 3 TMDS Clock-
Lane1+ 4 Blue TMDS Data0+ Cb, Audio
Gnd 5 Gnd
Lane1- 6 TMDS Data0-
Lane2+ 7 Green TMDS Data1+ Y, Audio
Gnd 8 Gnd
Lane2- 9 TMDS Data1-
Lane3+ 10 Red, H/V Sync TMDS Data2+ Cr, H/V Sync
Gnd 11 Gnd
Lane3- 12 TMDS Data2-
Gnd 13 Cable Adapter Detect Config1 Cable Adapter Detect
Gnd 14 No Connect Config2 CEC
Aux+ 15 DDC Clock
Gnd 16 Gnd
Aux- 17 DDC Data
Hot Plug Detect 18 Hot Plug Detect
Power Return 19
Power (3.3V/0.5A) 20 Power
Dual-Mode Cable Adapter
LevelShifter入りのDP変換アダプタ。このブログではパッシブアダプタと呼んできたもの。これ系のアダプタ製品は、上画像右側のDual-Mode DisplayPortロゴを使うことが推奨されている。Parade等が、既にTypes2のLevelShifterを発表済み。
Active Protocol Converter Adapter

DPの信号形式から、TMDSまたはVGA信号形式のへの変換を行うアダプタ。このブログではアクティブアダプタと呼んできたもの。Dual-Mode/Native両方のDP端子で使える。日本国内では、Sapphire/XFX/玄人志向がアクティブタイプと明示して、DP to SL-DVI/HDMIアダプタ製品を取り扱っている。

パッシブアダプタ同様に、次世代製品の準備も進んでおり、DP1.2-HBR2 to HDMI-TMDS297MHzコンバータチップを、STMicroが発表済み。実際のアダプタ製品としてはBizLinkがサンプル提供段階にある。
 to VGAコンバータはRAMDAC250MHz前後のチップばかりの模様。LCD全盛時代にアナログ伝送で、WUXGAより上の出力対応してもしゃーなしってところか。

なお変わり種として、デュアルリンクDVI to DPのコンバータもある。基本的にはMacユーザー向け(最近のApple製ディスプレイはDP受けしかできない)だが。

DisplayPort Active Cable
信号調整チップを入れ込み、銅線ケーブルで長距離(数十メートル級?)の伝送を可能にしたもの。HDMIでも似たようなケーブル製品がある。VESAがアクティブアダプタという言葉を使わずに、プロトコルコンバータと呼んでいるのは、これとの違いを明示するためと思われます。


VESAはガイドラインの中で、Dual-Modeアダプタなのかプロトコルコンバータなのかを明示するよう求めています。エ○コムとかサ○ワとか、リセラー企業さんたち頼んますよマヂで!

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