CEATEC2012 高解像度ディスプレイ インプレ

今回は、マルチディスプレイはほとんど関係無い話です。

普段こういった展示会に見に行く事はなかったんですが、4Kディスプレイが気になったので行ってきました。一部画像がピンぼけしているのは、借り物のデジカメの使い方がよくわからなかったからです。お。

会場の幕張メッセ。コミケ以外で足を運んだのは初めてです。さすがに皆さんパリっとした社会人ばかりで。レイヤーはいなかったけどでも、カメラ小僧はいたね。

でっかいことはいいことだ?

家電系ブースでは4Kパネル(3840*2160)を用いた大画面TVを展示してました。これはSonyのKD-84X9000。4K解像度による臨場感をウリとしてましたが、そもそも、今までFullHDを60~インチで表現していたことに無理があったんじゃないの?という気が。むしろ4K解像度化で大画面TVが漸くまともになったという印象。

その4KTVにPS3を繋げるの図。PS3って4K出力できるんですか、と聞いたらゲームは1080pで出力して、ディスプレイ側で4Kにスケーリングするとの事。まあPS3に限らず、現在の据え置きゲーム機では1080pレンダリングで実用的なフレームレートを得るのは難しいでしょうから、ゲーム機本体で1080pにスケーリングしてさらにディスプレイ側でスケーリング、略してスケスケ4Kですな。

家電系ブースを見回してみても、メガネを使うタイプの家庭用TV実演は息を潜めた感じでしたが、その中で目立ってたのがPS3を利用したこれ。二種類の偏光メガネを用意することで、同じ画面でも、二人のプレイヤーが異なる画像を見ることが出来る(立体視ではない)というもの。視差立体視はメガネの左目と右目で異なるグラスを使いますが、これはグラスを揃えてあります。

ノートPC(東芝Dynabook・来年発売予定?)からHDMIで4KTVに出力するの図。リフレッシュレートは30Hzだそうで。3840*2160@30Hzだと、必要ピクセルクロックは263MHz弱ですから、3GHz-TMDSに対応したKeplerかSouthernIslandsを載せるよっ、てことですかね。

でっかいコーナーの締めはNHKが展示していた85インチ8Kスーパーハイビジョン(7680*4320)。放送試験開始は2020年とか。・・・しかし、十数年後にTV放送という媒体は息してるのかしら? 

Sharp IGZOパネル

新開発の半導体素材を使い、従来よりも画素サイズを縮小、結果としてより高精細/低消費電力な液晶パネルが出来たというもの。台湾鴻海(ホンハイ)が欲しがったアレですな。ちなみにイグゾーと読み、アクセントは「I」に置きます。吉幾三ではありません。

10インチWQXGAパネル。299ppi。やはり自分としては、80インチとかでっかいのよりも高密度コンパクトな方に心惹かれます。「従来なら30インチ必要だった画像が俺の両の手に収まるんだぜ! グフフ」っとなにかこう、独占欲をくすぐられるものがあります。この他に6インチ版も置いてありました。
 ドラえもんの秘密道具に「どこでも窓」(どこでもドアの小型版)というものがありますが、こういった高精細パネルに表示される画像を見てると、まさにそれ、ガラス窓の向こうにリアル世界が広がっているような錯覚を受けます。製品化が楽しみ。

デスクトップPCユーザーの本命、31.5インチ4Kパネル。約140ppi。接続はDisplayPort1.2一本で60Hzイケるとか。ケーブルはそこらの店頭では見られないものでしたが、とにかくDP1.2受けが実用レベルに達していたということを知って一安心。DPで4K出せる出せる言ってたのはAMDだけで、一企業だけが空回りしている印象がありましたからね。
 ファンタシースターオンライン2がプレイ可能な状態で展示してありましたが、これだけ高解像度設定でゲームすると情報ウィンドウが小さすぎて、文字情報と画像情報のバランスが悪くなります。今後のビデオゲーム作りでは、720p/480p決め打ちで設計してきたGUIを大きく見直す必要があるでしょう。
 ゲームに限らず、アプリのUI系は全部ユーザー側で調整できて、そしてその設定内容はクラウドで共有可、なんて感じになるといいのですが。

同じパネルでスプレッドシートを表示するの図。直接表計算アプリを表示しているわけではなく、4K解像度でキャプチャした画像を表示しているようでしたが。この細かさで1ピクセル幅の文字を見るのは、蛍光灯に留まった羽虫を見つめるようなもんでかなりきついです。テキスト閲覧用途で高密度パネルを売るには、今までのWindowsよりもっと柔軟なテキストスケーリング機能とセットで売らなきゃダメですね。あるいはディスプレイアームの方に工夫して、少ない労苦で視距離を変えられるようにするか。もちろん至近距離での閲覧を想定するなら、ディスプレイの輝度は極力下げられるよう設計しなければいけません。
 こういったデスクトップ用高密度パネルの最初の購買層は、やはり静止画編集系(拡大/縮小スケーリング機能を当たり前のように実装してきた)アプリ使用者になるでしょう。

そのほか

BizlinkのDP1.2 to HDMI1.4プロトコルコンバータ。要するにアクティブアダプタ。HDMIでのFullHD@120Hz、および4K対応を明示。まだ試作段階だそうです。従来のアクティブアダプタよりコンパクトになっています。

感想
真面目に予習してから行けば良かった

今回CEATECの開催を知ったのが行く二日前。ろくに下調べしないままに行ったせいで、ディスプレイ周り見るだけで半日かかりました。時間(と体力)切れで昼過ぎに離脱。

全般的な印象としては、背広着た参加者が多い大学の文化祭だな、と。もっと島耕作なビジネスマンの大群が厳つい顔して商談してるシーンを想像してたんですが。一般の人でも、ものづくりに興味あるならバンバン見に行っていいと思いますよ。メディアで報道されるのは展示品のごく一部ですからね。